こんにちは。京都のやさいの会社で働いているみふみです。
日本の有機野菜には有機JAS認証があります。
以前のわたしは、
有機JAS→オーガニック→無農薬ってこと?
そんなふうに勝手にイメージしていました。


本当に勝手なイメージだにゃ
最近ようやく、その意味もわかってきたので
有機JASは無農薬ではない。ということを説明していきます。
そもそも農薬って?

農薬ってなんのためにあるの?
そもそも農薬とはなんでしょう。なんのためにあるのでしょうか。
自然相手のやさいは、虫、菌、草から身を守らなければなりません。
それらに負けてしまうと、虫食い、病気などにやられて通常のように育たなくなります。
また、できるだけ使わないとしても、その分労力(=人件費)もかかります。
除草剤を使わなければ数十分で終わることも、人の手でやれば数時間数十時間かかります。
人が病気になるのと同じで、野菜も病気になったり、ストレスを抱えたりします。
そうした様々な要因から野菜を守り栽培するためにあるのです。
どういうものを「農薬」と呼ぶのか
「農薬取締法」という法律の中に「農薬」がどんなものかが定義されています。
第二条 この法律において「農薬」とは、農作物(樹木及び農林産物を含む。以下「農作物等」と
いう。)を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみ、草その他の動植物又はウイルス(以下「病害
虫」と総称する。)の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤、除草剤その他の薬剤(その薬剤を原料
又は材料として使用した資材で当該防除に用いられるもののうち政令で定めるものを含む。)及
び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤(肥料
取締法(昭和二十五年法律第百二十七号)第二条第一項に規定する肥料を除く。)をいう。
2 前項の防除のために利用される天敵は、この法律の適用については、これを農薬とみなす。
(農薬の登録)
第三条 製造者又は輸入者は、農薬について、農林水産大臣の登録を受けなければ、これを製造し
若しくは加工し、又は輸入してはならない。
つまり・・・・
国からのお墨付き、「これは農薬として使用してよし」という許可が降りれば
それが「農薬」として登録され、使用できるようになるのです。
有機JASはどうなっているの?
有機JASでは基本的には化学的に合成された農薬は使用禁止です。
けれど、虫、菌、草からやさいを守らなければならないのは同じです。
農家さんも品種選定、除草剤を巻かずに手で雑草をとっていく、
などをして努力はしますがどうしようもないときもあります。
そのようなことから
「化学合成農薬は使用禁止。ただし、有機JASで認められた農薬は使用できる」
とされています。

結局よくわからんにゃ
つまり・・・・
①そもそも日本では、国からの許可、登録されたものしか使用できない
②それらは「農薬」として登録されている
③有機JASも自然由来の農薬、化学的に合成されていない農薬
が使用可能だけれど、それらは「農薬」としての登録がある
④有機JASでもその「農薬」が使われることもある
というわけで
有機JASは無農薬ではない、無農薬と言えない、ということです。

ややこしいけどちょっとわかった気がするにゃ
注意したいこと

自然由来の農薬が許可されている
有機JASでは「化学的に合成された農薬は禁止」になっています。
そして使用が許可されている農薬も基本的には自然由来のものです。

「化学的に合成」されたものが全て悪いとは思わないけど・・・にゃ😺
「許可」であり、農薬不使用なものもあるかもしれません
また、有機JASでは特定の農薬は使用してもよい。というだけで
それらが使用されているか、使用していないかは生産者さんしかわかりません。
あくまで有機JASはその範囲を指定しているだけです。

つまり、指定の農薬はokだよ。(使ってもいいよ=使わなくてもいいよ)
実際には農薬ありなもの、ないもの、どちらもあるってことにゃ。
どう考えていけばいいの?
それはわかったけれど、ではわたしたち消費者はどう考えていけばいいのでしょうか。

「無農薬」言葉に惑わされすぎない
そもそも「無農薬」という言葉自体、農林水産省のガイドラインでは許可されていません。
したがって、特別栽培農産物の基準を満たさない等の理由により、「農林水産省新ガ
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/tokusai_qa.pdf
イドラインによる表示」と表示しない場合であっても、『無農薬』、『無化学肥料』とい
った消費者に誤認を与える表示や節減割合、節減の比較基準及び節減対象を示さない単
なる『減農薬』、『減化学肥料』等の曖昧な表示を行うことは適当ではありません。
また農薬も意味がなく、あるわけではありません。
上記に書いたように、栽培する中で、除草が必要であったり
お野菜を菌や病気から守ることも必要です。
でなければお野菜を「商品として」出荷することができません。
「無農薬」というイメージはよさそうですが、それにとらわれすぎない選択ができたらいいなと思います。
信頼できる農家さん、お店から買うことが大切
有機JASもあくまで認証=目印の一つです。
顔の見える関係であれば、そのこだわりを説明して売ることができますが
不特定多数の顔の見えない、遠くのお客さんに売るにはその説明もできません。
そのための、「一つの目印」としてのマークです。
自分の共感できる農家さん、お店で買うことができればいいのではないかなと思います。
