2022年ファッションレボリューションのトークイベント。
今回のテーマは「衣服とロングデザイン」
D &departmentの重松さん
ファッションデザイナーの中里さんのお話をまとめていきます。
2000年以降、衣服の生産量は倍増し、低価格が進んでいます。それに伴い、衣服の購入量は増加し、買ってから手放すまでの期間が短くなっているというデータもあります。世界各国で廃棄衣料の行き先が問題となる中、改めて、長く愛される服とは何か、服を長く大切にするために何ができるのか、「ロングライフデザイン」を提唱するD&DEPARTMENTの重松さんと、「一点もの」の衣服がもたらす喜びについて探究するYUIMA NAKAZATOの中里さんと共に考えます。
https://www.fashionrevolution.org/asia/japan/
D &department
D &departmentって知っていますか?

今回のファッションレボリューションのテーマと同じ
もともと「ロングライフデザイン」をテーマとしたブランドです。
アクションのきっかけ
そもそもTシャツの製造コストって知っていますか?
・made in japan 10ドル
・made in china 3ドル
・made in Bangladesh 1ドル
バングラで作って半分捨てたとしても、それは中国で作るより安いのです。
そして、2013年バングラデシュでラナプラザ崩壊事故が起きました。
そこでロングデザインをテーマにする
D &departmentで問題、課題として改めて取り組むことになります。
【問題・課題】
従来「ごみ」でなかったものが、大量に「ごみ化」されるようになった
↓
・不要物でもごみにすべきではない
・ごみにする前に、もう一度使える再生の仕組みを考える
ということで
2014年秋から二つのプロジェクトをスタートさせます。
「d &RE WEAR」
ロングライフ、廃棄物、リサイクル対策の視点からリサイクル染めのプロジェクト

①リサイクルの販売
リサイクルに出された衣類は、まだ着れるのにも関わらず
色落ちしたり、色が変わって捨てられてしまうことも・・・
そんな洋服を、
リサイクル工場から買い取り、染め直し、販売をしています。
②染め直しサービス
また、それとは別に、お客さんから染めてほしい洋服を集めて
染め直すサービスも行っています。
「FROM LIFESTOCK」
廃棄物、国内産業の空洞化の視点から残布活用プロジェクト

産地の工房では保管されている生地や、生地見本が大量に余っているそう。
生産者さんも捨てるに捨てられない・・・
きれいだけれど、まとまった量はないお宝の山。
まさにデットストック。
その布たちをD &departmentさんが買い取り
バックやラグに加工し直し、新しいものへ再生して販売。
それぞれ個性のある残布が、大変身するプロジェクトです。
まさに、デットストックから、ライフストックですね。
染め直しや、ライフストックなど、素敵なアクションばかりですね☺️
ファッションデザイナー中里唯馬さん
お二人目はデザイナーの中里さん。

中里さんのWikipedia
日本のファッションデザイナー。自身の名を冠したYUIMA NAKAZATOブランドを展開している。
Wikipedia
2016年7月から日本人として史上2人目、森英恵氏以来となるパリ·オートクチュール·ファッションウィーク公式ゲストデザイナーの1人に選ばれコレクションを発表し続けている。
調べるまで知らなかったのですが、とても有名なデザイナーの中里さん。
「やがて衣服は一点ものしか存在しなくなる」
という未来、社会になっていくのではないか、ということがテーマで
オートクチュールのデザインをしていらっしゃいます。
Face to Face
2020年から「Face to Face」という活動も並行してされています。

例えば、シャツは誰でも持っているけれど
その人が持っているシャツのストーリーはその人しか持っていない。
そのシャツそのものと、その持ち主のストーリーを聞きながら
世界に一着の服をデザインするというサービスです。
対話から出てくる、ネガティブなことポジティブなこと。
そして送ってもらうシャツとその人の好みなども聞きながら
世界に一つの洋服をデザインしていくそうです。
TYPE-1

家電でも新しいモノを買おうではなく、リペアできるものはしようという動きが出てきている。
けれど、洋服は実はリペアが難しい。
頑丈に接着されたりしていたり、縫われていたりする。
だから、そもそもリペアできるようなデザインになっていたらいいのでは。
ミシンがなくても洋服ができるような構造のモノを作っていけたら。
そんな思いで、TYPE-1という、
針や糸を使用せずに、劣化しやすい部分を交換できるようにした
洋服のデザインもしています。
何度でも繰り返し素材同士を付けたり、
外したりできるため、長く着続けることが可能です。
新しいものを生み出す方々からの視点
デットストックではなくライフストック
鎌田さん:
「デットストック」というワードは聞くけど
それを「デット」ではなく生きた素材「ライフ」と言い換えて
取り組みをしているところが素敵です。
重松さん:
産地の方も捨てられずに困っているところに、
スタッフの方も参加して一緒になって整理をします。
産地の方は休日使ってまでもやることになるけれど、
それをちゃんと商品化することで、その日の人件費もお支払いできるんです。
残っているから、そのままください。ではなく
ちゃんとそこにもお金を払って、そしてちゃんと商品にしてお客さんに売る
というお金の流れができているのがさすがだなと思いました。
野菜でいう、規格外(残っているならタダでちょうだい)をどうするのかに
近いのかな・・・と思ったりしました。
やはり、ちゃんとそこにもお金の循環を作っていくことが大切ですね。
服との関わり方
鎌田さん:
「量産品だからダメではなく
服との思い出が重なっていけば、
またデザインをし直してもらえたら
大切に使い続けられるのではないか。」
「傷んでしまったら終わり、飽きてしまったら終わりではなく
染められたり、直したりしてもう一度使える。」
いろんな問題を知っていくと、ファストファッションは良くないもの
と思ってしまいがちですが、そうであっても大切にし続けること、
長く使い続ける工夫ができたら、それはそれでいいのだなと思えました。
すごく心が軽やかになった気がしました。(さすがありちゃん😢)
長く使うことってネガティブに捉われてしまわない?
鎌田さん:
「新品を売って利益を得る、というビジネスモデルの方からすれば
長く使うっことはネガティブに捉えられてしまわないですか?」
重松さん:
「利益を追求したらたくさん売らないといけない。
でもそうすると社会が成り立っていかない。
そのちょうどいいところをやっている。
けれど一点ものはやはり時間も労力もコストもかかる。
だから手間のかかるところは自分達でやる。」
中里さん:
「洋服は一度価格が下がってしまったことで
あるものに手を加えるということの価値が減ってしまった。
お直しや、染め直しなど二次加工していくことが
広まっていってくれたらいいなと思いますね。」
確かに。。。
重松さんのそうすると社会が成り立たない。と言う意志が
とてもかっこいいなと思いました。
そのような企業が増えていくことを願います🙏
そして中里さんの、「あるものに手を加えることの価値が減った」ということも、たしかになあと。
破れてしまった洋服があったら、お直しするよりも新しいものを買った方が安い。
その方がいい。と言う価値観になっていますもんね。
その価値観が変わって、いけばいいなあとわたしも思います。
ものづくりする人側の視点も変わったら・・・
中里さん:
「そもそもデザイナーが後のことまで考えてデザインできたら。
化学繊維とコットンを混ぜたものはきれいに染まらない。
デザイナーが設計する時に最終的にどうなるのかまでを想定しておくってことが大事。
生み出して終わりではなく、その先どうなるのか、までデザインすることが大切。」
鎌田さん:
「デザインってどうしても見た目の話かなと思うけれど、実は衣服が生まれてから、使われて、染め直されて、本当に最後使えなくなったらリサイクルされることまでデザイナーさんが考えられると、衣服の循環が実現していくかもしれないですね。」
中里さん:
「服を作る産地を見たり、作る現場はたのしくて見にいくのは好きだけれど、最終的に行き着いた山のようないらない服を見ておくと、生み出す時の責任感が醸成されるのかもしれないですね。」
これはデザイナーの中里さんだからこその視点だなと思いました。
たしかに、ゼロから服を作る人が見た目だけではなく
作られるところ〜終わるところまで、デザインする視点があれば
お直しや染め直しの視点を着る人も持つことができるのかなって思いました。
どうしたら服を長く愛することができる?
中里さん:
「今までは、作る人と着る人の距離感が近かった
けれどいまはすごく遠くなってしまった。
もう一度その距離が近くなれば、想いや信頼が生まれて愛着が生まれるのではないか。
face to face でも物理的距離が離れていても、作り手の顔が見えればいいのだ、とわかったので、
そういう意味でテクノロジーを使って、生産者が近くなっていけばいいなと思っています。」
重松さん:
「距離を近くするのがやはり大事
地域にお客さんと一緒に行ってその地域で買うこと
この生地屋さん作家さんから買うと大切にしたいと思う」
2人のコメントが本当に同じで
やさいと同じなのだなと改めて思いました。
食べ物も洋服も、作り手の人が遠くなってしまったいま
その距離をどう近づけるか、が課題なのだと思います。
まとめ
D &departmentはもともと知っていましたが
こんなアクションをしていることは知りませんでした。
久しぶりに京都のお店に行ってみようかなと思います。
また洋服は長く着れたらいいなとは考えていましたが
二次加工のこと、その可能性についてはあまり考えたことがなかったので
自分自身でも、お直しや染め直しを選択肢の一つにしてみようと思えました。
D &department

中里さんのHP

