夫馬さんのESG思考、半分読んだだけでお腹いっぱいですが
本番はここからです(笑)
さくさく読みすすめていきます。
第5章 ニュー資本主義の確立
・2006年に国連責任投資原則(PRI)が発足
リーマン・ショックを機にサステナビリティ経営がはじまる
欧米ではオールド資本主義→ニュー資本主義へのシフトに盛り上がり
→2006年に50の投資機関投資家ではじまったPRIは2015年には1400
SRIファンドとESGの違い
ESG投資→投資先企業のESGの状態を考慮した投資手法
✖ネガポイント
①企業を比較するデータがない(抽象的な話を定量化しなければならない)
②長期的価値創造に資する重要事項を見定める
ESG評価会社と呼ばれる企業群は、もともとは脱資本主義寄りの人々によって創造された。
なんとか投資家の資本を、利益優先の世界から
環境や社会の問題に配慮していく方向へ向かわせることに必死になっていた。
「環境・社会を考慮すれば利益が増える」という状況を示していかなければいけない。
→オールド資本主義の機関投資家も、脱資本主義だったESG評価会社側も、共通認識
ESGの基盤①長期思考
ダボス会議で発表されたグローバルリスクの変化
【気候変動】
2010年→2011年 真ん中→1番みぎはじへ(1番の重要事項になった)

リスク認識の変化の背景
リーマン・ショック後に経営陣が事業課題に対する考え方を大きく変え、
長期的な時間軸で事業の機会やリスクを捉え直したいという事情
気候変動→自然災害による損害
労働者の人件→採用競争力、工場の停止
水質源枯渇→事業に必要な水の確保ができない
いますぐ対応しないと困るような短期的リスクではなく
じわじわと悪影響が及び、ゆっくりと影響のあるもの→長期的思考
2006年には、金融商品取引法で上場企業の四半期決算開示が義務化されたが、
そのわずか数年後にアメリカでは四半期利益見通しの発表をやめる流れになっていった。
EUでは2015年までに義務化が廃止されている。
ESGの基盤②データ
サステナビリティ報告の国際ガイドラインを自主的に策定してきたGRI
2006年に97項目の開示項目を示した
日本では報告義務はほぼなし
EU→2002年から動きはじめる、
2014年にようやく、ESGの情報開示を義務付ける決まりが成立
イギリス→2013年会社法規則の改正
アメリカ→2015年
香港→2012年
シンガポール→2011年
インド、オーストラリア、、、、各国でESG情報開示を義務化2014年、2015年
日本→CSRの中でESGの開示は実施していたが義務ではない
ESGの基盤③マテリアリティ
重要な項目のことをマテリアリティ(重要性)と呼び
重要項目を見定めることを「マテリアリティ特定」という言い方をする
昔
企業買収情報、新製品発表情報、財務の大きな変動情報
2013年各ESG項目のマテリアリティ度合いをマッピングした図を開示することが強く推奨
①横軸を「企業が経済、環境、環境、社会に及ぼす影響の大きさ」
②縦軸を「ステークホルダーの評価及び意思決定への影響」

マテリアリティ特定によって、ESGの中で財務に影響を与える項目が明確になってくる
ESGの基盤④ ESG評価体制
企業のESG情報を収集してスコア化したものを、インデックス開発会社や機関投資家に販売している
ESGパフォーマンス
結局、「環境・社会への影響を考慮すると利益が増える」=ニュー資本主義はありえるのか
①株価でもROEでも高い(ESG投資の学者)
②「環境や社会課題が大きく変化する時代に、
過去の投資リターンとリスクのデータにのみ依存していいわけがない」
変化の激しい時代に過去のデータはあてはまらない
ESG投資家は過去のデータではなく、ESGデータも考慮したほうが企業の成長の将来性をみている
↑「現代ポートフォリオ理論」からの反論
③パフォーマンスの分析2000本もの研究結果
ESG高い63% 低い8% 判断できない29%
日本企業の停滞
①旧来型のCSR
「不祥事対応、社会貢献活動、環境活動」の3点セット
②機関投資家(年金基金、保険会社、運用会社)
「儲からないSRI」
③間違った理解
・2010年イギリスで機関投資家向けにスチュアートシップ・コードという自主規制を導入
機関投資家が投資先企業の持続的成長に向けたESG課題に対応するために、
状況をモニタリング、対話、議決権行使を狙った
→日本
スチュワードシップ・コードとは、ROEを上げるよう投資先企業との対話なのだと理解。
グローバル企業は長期リスク対応のために積極的にR&Dやサプライチェーン支援を開始
日本は設備投資するための貴重な資金を、財務諸表の見栄えを良くするためだけの自社株買いに費やす
→その他の国
EU、韓国、香港、シンガポール、マレーシア、タイ、ブラジル、南アフリカ、ケニアでも
スチュワードシップ・コードは導入→ESGを向上させるための導入
・2015年コーポレートガバナンスコードの導入
上場企業に対し、持続的成長に向けた企業の自律的な取り組みを促すための原則
例)独立社外取締役を2名おく
海外→サステナビリティ経営では長期的思考の専門家が重要だから2人はいるよね
日本→なんで2人も必要なん?
・ニュー資本主義が確立され、世界が長期思考をはじめたとき
日本は短期思考のままでいた
読んでいて、なんだか寂しくなってきました。。。
世界は本質的に「長期思考」をし始めていて、
その不確かな「ESG投資」を確かにするための基盤も作り出していたときに
日本はそれを全く理解せずにいたのだと…
けれど2011年はちょうど、東日本大震災があった年。
あれだけの災害があったから仕方なかったのか。。。
逆にあれだけの災害があったのに気づかなかったのか。。。
また、日常でわたしは日本語の情報しか目にしていないので
世界から遅れた日本で得られる「サステナビリティ」の情報や意識と
海外で得られる「サステナビリティ」の情報や意識って
雲泥の差があるじゃないかなあと思いました。
自分の勝手な認識ですが
海外のサステナビリティは「会社・企業」が本質的に持続可能でいられるか
という、地に足ついた、現実的に使われる言葉で
日本のサステナビリティは「エシカル」「エコ」と同じような
意識高いような、サステナビリティだったらいいね〜みたなゆるふわな
地に足ついてないイメージでいます(笑)勝手に。
でも、そのイメージも、日本にいて、日本の情報しか目にしてこなかったから、
というのもあるのかなと。
実際、肌感覚で海外はどんななんだろうか。。。
第6章 ニュー資本主義が生み出したパリ協定・SDGs
欧米の経済界では、2010年頃からすでに気候変動が経済と社会に大きな被害をもたらしていくことが見通しされていた。
1994年国連気候変動枠組条約
COP「締役国会議」国連気候変動枠組条約に加盟している締約国が毎年集まって開催する会議
1995年が第一回
1997年が第3回COPin kyoto
先進国の二酸化炭素排出量削減目標をはじめて決めた国際条約「京都議定書」
15年後の2012年までに(1990年を基準に)
EU8%→15.5%減(FIT制度とか)
アメリカ7%→2001年に脱退→4.3%増
カナダ、日本6%→カナダは2011年脱退→18.2%増
途上国なし
空中分解で終わる
日本6%減目標→1.4%増
最終的には8.4%減
「京都メカニズム・クレジット」
外国で二酸化炭素排出削減したら自国の削減量としてカウントされる
→2006年から無理っぽいとわかる
中国での、水力、バイオマス、廃熱回収発電
最終的にウクライナ、チェコでの省エネプロジェクト
→総額1600億円をかけ、5.9%減に成功(海外で二酸化炭素の削減をした)
政府による国際会議は2012年に空中分解、2016年のパリ協定までなにもない
2015年にG20が気候変動による金融リスクの調査を依頼
やっと政府も動きだす
先行する金融機関の気候変動対策
①イギリスの金融機関大手HSBC
「気候ビジネス会議」、石炭火力発電を新設する案件には融資しない「世界水会議」
②国際環境NGO(RAN)のレポート
金融機関は自分たちの投融資が気候変動によって損害を被るかもしれない
化石燃料は非常に人気のある投融資先だったが
二酸化炭素排出量が制限されると、経済資源として活用できなくなる
グローバル企業や大手金融機関は、
政府以上に気候変動が世界のどの地域にどの地域にどのような変化を引き起こすか強い関心
→調達しているインドの茶葉農園は大丈夫か
→コーヒーを調達しているエチオピアの気候変動はどうなるか
→フィリピンのエビ養殖場は洪水被害にあわないか
→巨大なハリケーンに損害保険会社は耐えられるか
2013年には、世界銀行グループが石炭関連への融資を原則禁止
2014年欧米大手銀行も石炭採掘への新規融資を大幅に制限
2015年ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなども石炭火力発電への融資を制限
石炭ダイベストメントという言葉も浸透していく
2012年4月グリンピースVSアップル
G「勝手に格付けするよ。アップルは化石燃料に依存してクリーンじゃない」
A「そんなことない、データがおかしい。これから再エネ取り組む」
G「科学的論文はこちら💁」
A「全米4箇所のデータセンターは再エネにしたよ」
:
2013年3月A「事業の全電力再エネにするよ・・・」
こうして2015年12月初旬までに、ニュー資本主義に移行したグローバル企業や金融機関、G20諸国の間では気候変動対策待ったなしの気運が高まる。その状態で開催された気候変動枠組条約のCOP21パリ会議。
世界 | 日本 | |
---|---|---|
2015年9月 SDGs | ニュー資本主義の活発化のタイミング。 企業は長期リスクの理解 国際機関はNGOとの連携 | 話題になったの2018年頃。 |
2015年 海洋プラ問題のレポート | コカ・コーラ、ネスレ、イケアは プラ代替品の事業をすすめはじめる | スタバ、マックのプラ廃止発表で 話題になったの2018年。 |
2015年12月 パリ協定 | 196カ国の政府がCO2削減目標を設定に合意 | 出遅れ・・・ |
2016年11月 パリ協定発行 | G20で批准間に合わないのは 日本、トルコ、オーストラリアのみ | 政府も企業も 「経済に気候変動は障害。」 他国はもう批准したの!? (COP22はオブザーバー。投票権なし) |
2017年6月 TCFD報告書 (機関投資家、金融機関、企業が 気候変動の分析開示の枠組み決め) | EU→情報開示の法制化をすぐに検討 アメリカ(カリフォルニア)→経営監査 | 政府動かず。 「企業の自主的努力に期待」 状況が読み込めず。 |
2017年12月 金融機関の気候変動を検討する会議 | 中国、シンガポール、メキシコは初期メン | その時日本は石炭火力発電の建設ラッシュ!! |
2019年9月 国連気候行動サミット 「グレタさん」 | ニュー資本主義に移行済みの グローバル企業と機関投資家は共感。 | 「環境よりも経済が重要」 オールド資本主義丸出しの反論。 |
SDGsは国連の呼びかけで企業が動くようになったのではなく、国連が企業の動きに触発されて解釈したものだった。
ここでも、「民間が先、政府があと」という状況が生まれていった。
㊗企業+金融機関+国連→SDGs㊗
このあたりの流れがごちゃごちゃでわかっていないところが多々なので
また読み直しますm(__)m
でもSDGsが、国連が呼びかけて、企業や金融機関に浸透していったもの
ではなく
企業や金融機関の動きが先にあった。というのは初知りでした👀
もう何度か読んで、このあたりを理解したいです。
第7章 日本でのニュー資本主義への誘導
さて、ようやく、日本へはいつやってきたのか、という話です。
世界最大の機関投資家GPIF
- 2015年GPIFの最高投資責任者に水野弘道さんが選ばれる
→2015年PRIに署名 - 2017年「ESG指数を選定しました」というプレスリリース
→3本のインデックスが選ばれる
→1年半後1.5兆円に
日本のSDGsブーム
- 2016年の伊勢島サミットに向けて「SDGs推進本部」
- 経団連、全銀協、日証協という力のある業界団体がSDGsに言及
(やらねばならないことをやる。という言及のみで、なぜそれが必要なのかは不十分) - 日証協がSDGsバッチを支給し、つけることになる
(「SDGsを推進すべし」という号令のみ、なにをすべきか???
GPIF水野さんが日本に本格的にESD投資をもってくるものの
経団連などの業界団体の「とりあえずバッチつけよ」
ここの章を読むまで、
GPIFとかいう年金管理する団体がわたしたちの年金を勝手に株にぶっこんでる
と思っていました。すみません。勉強します。。。
そして、水野さんも、そんな大きな機関の大きなお金を動かす責任者って
さぞかしこわくて、真面目で、サイヤ人みたいな人なのかなと検索したら
普通に優しそうなおじさまだった。。。
こちらの動画で水野さんがESGについて語っています。
いままで「ESG」の概念すらなかった、この日本に、
「ESG投資」をもってきた水野さんの功績は本当に素晴らしいと思います。
そして、日本のなにが足かせになっているかと言ったら、
経団連とかの業界団体なのではないか・・・?と思ったり・・・
第8章 ニュー資本主義に必要なマインド
ニュー資本主義 | オールド資本主義 | |
---|---|---|
四半期決算 | ✖邪魔者扱い | ◎高く評価 |
CO2排出量削減 | ◎資金調達に必要 | ✖足かせ |